証券業界にインターネット革命を巻き起こし、大手証券会社を震撼させた男、松井道夫が、その独自の経営哲学やビジネス思考を明らかにした注目の1本。 セミナーが収録されたのがまだ発展途上の時期だったためか、前半の15分程度は業界へのぼやきや松井証券の概況、決意のようなものが語られており、正直退屈な印象を受ける。
だが、中盤からは一転して、時代をとらえる独自の視点やビジネスモデルに対する考え方など、刺激的な議論が展開される。『おやんなさいよでもつまんないよ』をはじめ、これまでに複数の著書を持つ松井だが、ここでは本でも述べられていなかった斬新な視点と、ビジネスへのヒントを惜し気もなく披露している。
ニューヨークの有名アナリストの言葉を引用しながら、「もう自分を中心にして世の中考えるのやめろよ」と、サプライヤー中心時代の発想に警鐘を鳴らす松井道夫。「No.1にならなければお客さんに無視される」というシビアな考え方は、多くのサプライヤーにとってはつらいところだが、情報化時代においては、恐らく適切な見解であろう。
ほかにも、「あらゆるビジネスのヒントは大企業にある」「勝ち組企業に共通するのは社長が有名なこと」など、ユニークな視点を披露しながら、実践的アイデアの源泉となる考え方を提供している。シニカルな語り口と刺激的な議論が魅力の、おすすめの1本である。(土井英司)