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戦場の現在(いま)―戦闘地域の最前線をゆく (集英社新書)
東チモール県知事日記
武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)
 
¥ 777(税込)
通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:707位  
カスタマーレビュー数:11

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事実は冒険小説よりすごい
ひょんな事から著者の東チモール県知事時代日記ブログ(?)を見て、俄かには信じられませんでした。これが事実であることを、こんな仕事人がいることを。その後、著者のブログをむさぼるように追いました。本になると、現場の荒々しい息遣いはノイズキャンセルされていますが、スピリッツとして明快です。5月27日のNHKプロフェッショナルには、国連高等難民弁務官事務所ウガンダ・リラ事務所長高嶋由美子さんが登場、また、国連・法の支配・保安機構事務所DDR Sectionでは2007年12月以降、アヤカ・スズキ(AyakaSuzuki)という日本人女性がチーフを担当している。(wikiPediaより)とか、誇れるエリートがもっとクローズアップされるといいと思います。日本の子供たちのヒーロー、ヒロインとして。
平和のコスト
和解という暴力があるということ。 戦闘状態を終わったばかりの土地で、隣同士で顔を見合わせるような人たちの間に、しこりがないわけがない。和解の美談は、その情緒的な問題を置き去りにする。押し潰そうとしても消えないしこりは、より大きな傷になる。 復興事業というと、福祉や教育など、なにか綺麗なものを作ることばかり発想してきた自分の浅はかさが悲しくなる。平和は自動的に訪れると思い込むことは、自らが夢見がちな世間知らずであることを露呈する。 著者の最後の一行が、胸が痛いほど、インパクトがあった。 法律を変える前に、現行の法律の中でできることの最善を尽くしたのだろうか。 言葉を変えるだけでは意味がない。むしろ、言葉を変えただけで、内実を変えたと勘違いすることのほうが問題である。言葉を変えるのは、最善を尽くしてもなお足りないときだけで十分だ。果たして、最善を尽くしたのか。 言葉だけを変えたがる、表面を取り繕えば解決したと勘違いするような浅はかな人間ではありたくない。 できることを考えるために、行うために、多くの人にこの本を読んで欲しいと思ったし、自分は続きをもっと知りたいと思った。 その後のこと、今のことを。
一気に読んでしまいました
 アフリカやアフガニスタンでの紛争のまさに当該地域での武装解除を実践された伊勢崎氏の経験は、大げさにいえば日本の宝のように感じます。実際の資金集めから中立性の維持、武装解除に至るネゴシエーションなど実地での経験を目の当たりにすると日本の報道(特にテレビ)などで議論されている国際貢献やイメージ(映像)としての平和的貢献というものがいかにずれているのかを感じます。武装解除という現地の人々にとって大切な平和への移行プロセスに軍事力(PKFなど)が欠かせない事は、この本を読む事で十分に納得させられますし、個人的にそれが戦争を放棄する日本国憲法の趣旨と矛盾するとも思えません。むしろ目的も不明確なまま海外に自衛隊を派遣されている事実や平和を語る際に軍事力を同時に語れない雰囲気が蔓延している日本への違和感がより具体的に感じられました。普段テレビによる視覚によるイメージばかりを追いかけがちですが、映像にならない悲劇や現実がある事を忘れてはいけない事を改めて思いました。
この人カッコ良い。
著者は国際NGOに所属し、アフリカ・アフガニスタン・東チモール等で紛争の解決を行ってきた。 紛争を解決する手順は通称「DDR」と呼ばれる。 それぞれ日本語では「武装解除」→「動員解除」→「社会再統合」と訳される。 簡単に言うと、ある武装組織から武器を取り上げ、解散させ、再動員されることのないように一般の社会に再統合させる一連の手続であり、国際的に内戦処理の一つの定番プログラムになっているらしい。 著者は実際に各地で紛争を解決し、DDRを行ってきており、その生々しい体験を読んでいるだけでもかなり面白い。 また、そういった体験に裏打ちされた(例えば自衛隊に対しての)説得力ある提言や正確な知識は大変勉強になる。 「日本人でこんなことやってる人がいるんだなあ・・・」というのが正直な感想であり、本書は面白く、著者はカッコ良い。 何の問題もなくオススメできる一冊である。
紛争、虐殺から停戦・武装解除へ
紛争での虐殺の抑止、加害者側を含めた和解プロセス、そしてシビリアンコントロール下の非武装中立の軍事プロによる軍事監視団による武装解除。国連軍による治安維持。 紛争現場は、私たちが考えている以上に複雑で予測がつかない状況で満ち溢れている。 国連の存在は、ベストではないが、アメリカ合衆国よりは、中立公正である故に人員を紛争に派遣する場合は、国連の決議が必要であることは他国の領土に足を踏み入れる上で非常に重要なことである。著者は、日本国内の右も左も他国に自衛隊を派遣するような状況のことを全然理解していないと喝破している。著者自身は、憲法9条支持者であるが、国内で語られる9条の支持者とは、支持の前提が異なる。 数々の国際紛争を目の当たりにしている著者にとって、武装解除に軍事力の力なしでは不可能としていると同時にお金の力は、必要な内政干渉にとってバーターとなる強力な武器であるとしている。カネを出すものは、非常に大きな貢献ができるのもまた事実なのである。 日本国内の自衛隊海外派遣に積極的な支持を出している論者が国連の指揮下に入らないで米国のサポートの存在として派遣しようとする態度に非常に危惧しており、そのために憲法9条がブレーキとして機能するため改定することはできないとしている。確かにイラク戦争の派遣は、国連のオーソライズがなく、事実上米軍の支援のためとなっている感が強い。 一方で日本の軍事的(兵力ではない)貢献の必要も説く。自衛隊の幹部を非武装中立の軍事監視団に派遣することも必要であるとしている。それにより、兵力的な海外派兵をせずに軍事的にも貢献できる可能性があることを示唆している。 それらの実現を困難にしているのが、日本の外交政策である。 また国内の自衛隊の海外派遣による力の誇示をする、又は海外派遣を容易にすることを希望する勢力を危惧する著者の気持ちに非常に共感する。国内の9条と自衛隊の派遣に関する論争は、復古主義者又は軍事オタクと危機管理に疎い画餅の平和主義者との間で行われているように思える。両者とも軍事的衝突や紛争の真実に殆ど無知なことを本書が教えてくれている。



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小倉昌男 経営学
 
¥ 1,470(税込)
通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:210位  
カスタマーレビュー数:38

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 「儲からない」といわれた個人宅配の市場を切り開き、「宅急便」によって人々の生活の常識を変えた男、小倉昌男。本書は、ヤマト運輸の元社長である小倉が書き下ろした、経営のケーススタディーである。

   全体を通して読み取れるのは、「学習する経営者」小倉の謙虚さと、そこからは想像もできないほど強い決断力である。成功した人物にありがちな自慢話ではない。何から発想のヒントを得たか、誰からもらったアイデアか、などがこと細かに記されている。講演会やセミナー、書籍、マンハッタンで見た光景、海外の業者に聞いた話、クロネコマークの由来…。豊富なエピソードから伝わってくるのは、まさに学習し続ける男の偉大さである。

   一方で、並々ならぬ決断力を持っていたのだと思わせる記述がいくつかある。宅急便に注力するため、大口の取引先であった松下電器との長期にわたる取引関係を終結させたこと、三越岡田社長のやり方に反発し、「とてもパートナーとして一緒に仕事をしていくことはできなかった」として取引関係を解消したこと、運輸省を相手に訴訟を起こしたこと…。いずれも確固たる論理がその根底にあった。それにしても見事な決断力と言わざるを得ない。

   終わりの部分で紹介されている宅急便の各種サービス内容や、有名なNEKOシステムなどの話は、流通・物流の関係者以外には興味がわかないかもしれないが、全体的に読みやすく、興味深いエピソードが満載なので、読んでいて飽きることがない。経営者としての小倉の人となりが伝わる、好感の持てる1冊である。(土井英司)


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これはまさに経営のバイブル!
いままで様々な経営に関する本を読んできたが、これほどまでに実践に裏付けされた本はいままでに読んだ事がない。 今では、宅急便という言葉と、数日で日本全国どこにでも小包を送れるというのが当たり前のようになっているが、そのシステムの構築と規制緩和には想像を遥かに超えた苦労があった。目先の売上よりもお客様を大切にし、現場の声を何よりも大切にする。こんな企業が日本にもっと増えれば、必ず経済は良くなるだろう。 本書のような心に訴えてくるようなあつい経営書をもっと読んでみたい。
人生の壁にぶつかった時に読みたい本。
まさにビジネスマンのバイブルではなかろうか? 今では、当たり前になってしまった宅急便も、当時は商品化するにあたって相当の苦労があったことが読み取れる。役員全員の反対、冷たい周囲の目。リスクが多すぎるとの声。最重要取引先との決別をする時の決断。運輸省との闘い。。。 それらの困難を打ち破っていくところなど、勇気をもらうことができる。 新しい市場を開拓したブルーオーシャン! 小倉昌男氏の言う、サービスが先で利益が後という徹底した顧客主義! わかってはいても、なかなか実行できないのではないだろうか? それを、やってのける行動力。 どの名経営者にもいえることだが、共通してでてくるキーワードは仮説をたて行動する。 そして検証する。といったもの。 時代が変わっても、それは同じ。 サービスの差別化、口コミの効力、ゆるぎない理念。社員に責任をもたせてモチベーションをあげる。 一度は読むべき良書です! 最後にこの本で感銘をうけた言葉 できるできないを考える前にすべきかどうかを考えることが重要だ。
顧客サービスとは何か
会社の経営者が本を書くと本業が傾く、というジンクスがある。 だから小倉氏は会社の経営から引退するまで本を書かなかった。 このエピソードだけで、小倉氏のことがなんとなくわかる。 クロネコヤマトの宅急便の創始者が書いた、半ば自伝。 半ば経営の書。 宅急便が軌道に乗り始めていたとはいえ、当時の岡田社長の倫理観に異議を唱え、ヤマト運輸の収入源だった三越の運送委託を打ち切ってしまう。 まさに英断。 三越はコスト削減で業績回復するも、その後の岡田社長のことは言うまでもない。 運輸省との喧嘩、郵政省との喧嘩いずれにも勝利する。 サービス第一、利益は第二のモットーの元に経営されてきた結果、天命によって発展した仕事が宅急便だと感じた。 クロネコ。 なぜヤマトのシンボルは黒猫なのか。 もともとは昭和30年当時提携していたアメリカのアラド・ヴァン・ラインズ社の三毛猫がヒント。 「母親が子猫を運ぶように荷物をやさしく運びます」というメッセージである。
全ては倫理観
正直な話、本書を読むまで小倉昌男という人間を全く知りませんでした。読むきっかけもレポートを書かなくてはいけなかったからです。でも本書を読み、目から鱗が落ちる心地です。今でこそ当たり前となっている宅急便や翌日配送。そこに至るまでの作者の軌跡が記されています。一見作者のとった戦略は無謀にも思えるが斬新な工夫と確かな裏付けによる判断は素晴らしいの一言ですし、何よりも利用者の事を第一に考えた経営手法はまさに経営者の鏡といっても過言ではないでしょう。昨今、消費者の事を全く無視したような利益第一の偽装など信じられないような事が相次いでいます。確かにキレイゴトでは飯は食えなく、作者も成功したからこそ言える言葉とは思います。ですが作者の残した「サービスが先、利益は後」という言葉はまさに現代の経営者に必要な事ではないかと思います。
一生参考になる経営書
大和運輸の設立から、今に至るまでの経緯がつづられている本。 過去の短距離成功で長距離輸送に乗り遅れ、会社が傾いてゆく様、そこに宅急便で活路を見出す様はとても勉強になりました。表面的に物事を考え、可否を判断するの事と、何故、自分の頭で考えないで他人の真似だけをするのが不味いのかを教わったような気がします。   ルールは変わり続けますが、「これから」に適応する事を忘れた公私は衰退するというのは変わらないだろうなと。どっかのダーウィンの話が耳に沁みます。



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[新訳]孫子―ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法
隷属国家 日本の岐路―今度は中国の天領になるのか?
 
¥ 1,575(税込)
通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:1143位  
カスタマーレビュー数:21

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日本が進むべき道
「日本はアメリカの天領である。」このひとつの事実を正確に理解している日本人がどれだけいるのでしょうか。そして、アメリカ没落が確定的となった今、日本はどうすべきなのか?このまま世界の政治に渦の中で、「主体性」を持たず生きていくと、遠からず中国の天領となってしまうと言う事が、本書を読むと理解出来るはずです。 これだけ分かりやすく、複雑な世界の政治を解説出来る人は他に見あたりません。彼の著書を読んだ後に、新聞の国際欄を読むと、理解出来る風景が一変している事に気づく事でしょう。 黙って読め、と言える本は年に何冊もありませんが、これはそのうちの一冊です。
日本の進むべき方向性が示される
経済、外交、教育、軍事など幅広い分野の問題点や今後、日本が進むべき方向性が軽快にわかりやすく書かれています。 日頃、個人的に確信していることだけでなく、疎い経済分野で漠然と思い描いていることなどでも、私の考えと大半の部分で一致します。 知り合いの「親日」中国人とも話しますが、日本文明とは思想や文化など多くのものが輸入されながらも、良い点だけを残して吸収し、悪い点を排除して発展していったのだが、戦後、特に最近は悪い点ばかり取り入れているということ。 その原因となり続ける「A級戦犯」は戦後教育と左翼メディアでしょう。 未だに「大」新聞とやらは、アメリカが押し付けた占領基本法を絶対に護るべし!と声を荒げながら、アメリカに追従するな!と訴える欺瞞と矛盾。 戦後、ひたすら「日本」を否定・破壊し、左傾斜してきた日本。未だに「アメリカでは」「フランスでは」云々と言う輩が絶ちませんが、日本は「日本」から学ぶことが大切です。 子供たちに「日本」を学ばせる。それが教育の最も重要なことの一つです。
日本の将来を考えて…
北野氏の本は、シンプルだ。とても読みやすい。 難しいことを難しく書く人は多いが、難しいことを易しく書く人は 残念ながらほとんどいない。 しかし、北野氏は難しい国際情勢を、これ以上ないくらい易しく教えてくれる。 イラク戦争はどうして起きたのか? これからアメリカはどうなっていくのか? 中国は、ロシアはどう動くのか? そして、日本は…。 アメリカの大統領はオバマ氏に決まった。 北野氏の書く「多極体制」がいよいよ始まったのだ。 我々日本人はもう、アメリカに頼ってばかりはいられない。 では、どうすればよいのか?  その答えはこの本の中にある。
歴史は切り口次第でどうにでも解釈できる、外交もまた同じ
日本は従米路線の愚かさにいい加減気付け、と叫ぶトーンは前著から続く。 日本人に深く根を張る謝罪史観は、アメリカの指示のもと歴教協など左派の教育者によるもので、早く洗脳から目覚めよと説く。まさにそのとおり。 移民労働者反対や基礎教育の重視(特に幼年期の暗誦)にも共感するが、本書には疑問点もある。 アメリカ幕府のあとは中国幕府の天領になると著者は言うが、昨今の中国食品などからくる国民の嫌中意識を考えれば微妙だ。 低額商品・普及品市場は中国に任せ、富裕層を対象にした高級品路線に特化せよとの主張にもひっかかる。 スイスや北欧などの小国ならいざしらず、日本のようなフルラインの産業構造を持つ大国は、普及品あっての高級品だし、最初から市場を絞った戦略は損ではないか?
徹頭徹尾日本の国益を論じる
著書待望の新著である。 著者は旧ソ連・ロシアに留学、カイルムイキヤ自治共和国大統領顧問をつとめたり、コンサルティング会社を経営するなど、ロシアで活躍する日本人である。 この珍しい経歴が著者の独特の分析の背景となっている。 日本から旧ソ連への留学というと共産系の知識人がまず最初に思い出される。彼らは既に過去の人材だ。現在留学というと西欧系の大学が主流であるが、彼らは西欧流の思考法を身につけて帰ってくる。著者はそのいずれでもない。旧ソ連といっても思想系の学問を積んだのではなく、外交について学んできたのである。 その原則は徹頭徹尾国益を考える。つまりは「カネ」である。国家は自己の国益を最大限にすることこそが使命なのである。 そこにイデオロギーのはいる余地は全くない。著者もこのリアリズムを我がものとして現在の世界情勢を鮮やかに分析する。欧米にもロシアにも中国にも偏らない、日本の国益を最大限追求する論説は他ではあまり見られない視点もあり、非常に興味深い。 また、さらに特徴的なのは公開情報を主として分析を進めていることである。著書にも随所に新聞や通信局の記事が引用されている。これらの記事を丹念に読み、分析することによって世界情勢の大きな動きが読めるというわけである。何も裏情報やコネに頼らなくとも世界の動きを読むことはできるのだ。冷戦時代のスパイの重要な任務が現地の新聞の分析であったことと同じである。 著者の最大の関心事は日本の国益である。 世界情勢への多様な側面からの分析はネタバレになるので詳しくは書かないが、第6章は必読である。著者の日本に対する熱い思いを読み取ることができる。日本にいる我々が日本のために何ができるのか。混迷の現在こそ著者のメッセージを受け取り、少しでも良い未来を築くための努力をしなければならないと思わされた。



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カスタマーレビュー数:12

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思想書の射程を超えて
「正当な暴力の独占主体」としての国家、とのあまりに有名な定義が披露される講演記録。  しかし、当のヴェーバーはそうした定義もそこそこに、各々の政体の、各々の時代における 種々の「職業」のありようへとその議論を移していく。  それらを極めて丹念に吟味したその後に、テーマは再び政治家たる者の資質の問題、暴力の 問題へと帰着する。 「心情倫理」と「責任倫理」の耐え難き分裂、しかし、そこで立ち尽くすものに政治家たる 資質などあろうはずもない。  成熟の末、双方を併せ持ち、あまりに悲惨な状況を前にして、「それでもなおdennoch」、 この世界に情熱と判断力をもって立ち向かうもののみが「天職 Be uf」として、政治へと挑み 得る、この社会学者は聴衆を前にそう断言する。  第一次世界大戦直後のドイツにおいて放たれたこれらヴェーバーのことばは、単にその 時代において解釈されるべきものではない。暴力の問題、責任の問題はすなわち人類史に 他ならない。ゆえにこそ、彼の熱き意志は今なお、深き洞察を有する生きたことばとして 語り継がれる価値を持つ。
日本の政治家はともかくもこれを読め!
マックス・ヴェーバーの講演録。 薄いが中身は濃いものとなっている。 本書の内容は「職業としての政治とは何であり、またそれがどういう意味をもちうるのか」(p7〜8)という問題への答えである。 政治とは権力をもってするものであり、すなわち暴力を用いてしか解決できないような問題を対処しなければならない。 要するに、悪魔との契約をしなければならないのである。 彼の言うところの「道徳的にいかがわしい手段」(p90)を用いる必要があるということだ。 政治家に必要とされるのは、心情倫理(一般的な倫理)ではなく、責任倫理である。 要するに、手段を問題にすべきではなく、政治家に必要なのは、結果への責任をすべて受け入れる倫理なのである。 今日では政治家よりもマスメディアが、このことをしっかりと頭に置くべきだろう。 メディアではしばしば、政治家の「非道徳性」が非難されるが、その多くは手段が倫理的ではないということで、これは場違いな批判である。 一方政治家も、結果について「予見できなかった・こういう事態がおきたために〜・目的は正しかった」などと弁解する人がいるが、これもまた政治家の持つべき倫理を間違えている。 個人的に気になったのは、政治と過去との関係である。 彼は、「戦争がすんだ後でその勝利者が、自分の方が正しかったから勝ったのだと、品位を欠いた独善さでぬけぬけと主張する」(p83)のを批判し、敗戦国についても「戦後になって「責任者」を追及する」(p94)などということは「愚痴っぽいこと」と一蹴している。 「戦争の終結によって少なくとも戦争の道義的な埋葬は済んだはずなのに、数十年後、新しい文書が公開されるたびに、品位のない悲鳴や憎悪や憤激が再燃して来る」(同)というのも、今日の日本を示唆しているかのようである。 彼は「政治家にとって大切なのは将来と将来に対する責任である」(同)と断言し、「過去の責任問題の追及」は「解決不可能」で「不毛」だとしている。 さらに、過去の責任追及においては、「勝者は――同義的にも物質的にも――最大限の利益を得ようとし、他方、敗者にも、罪の懺悔を利用して有利な情勢を買い取ろうとする魂胆がある」ために、「問題全体が不可避的に歪曲化されるという事実までが、そこでは見逃されてしまう」(p84〜85)と言う。 最後に、彼は「「卑俗」とはまさにこういう態度をこそ指す言葉で、それは「倫理」が「独善」の手段として利用されたことの結果である」(p85)と締めくくっている。 現在の日本への警鐘のようにも思える。
時代の皮肉
ウェーバーの死の1年前、1919年に行われた、次代を担うであろう学生達に向けた講演の記録。 誰もが指摘するように、古典中の古典だが、得るものは多い。 政治の持つ暴力性、現代的な政治を職業とする者の分類、そして政治家に期待される倫理、さらに資質……これらのことに関して論じたところは未だに色あせない。 そして、多くの人が、これらのことについては語ってしまっているので、本書の違う部分に目を向けたいと思う。 ウェーバーはこの当時、ワイマール憲法の起草委員会のメンバーだったと記憶している。 高校の歴史や政治経済の教科書などにも出てくる通り、基本的人権という面において、当時としてはもっとも完成度が高かったとされる憲法だ。 自分の記憶が確かなら、起草に当たって政治社会学、法社会学の泰斗として、ウェーバーの果たした役割もまた大きかったに違いない。 そして、この講演…特に政治家の倫理や資質を語る部分は、当然、この憲法に基づくドイツの政治をこれから担う若者に対して発せられた、政治を職業とする者はかくあるべしという、ウェーバー流のメッセージのはずなのだ。 さらに、彼はロシア革命を「乱痴気騒ぎ(カーニヴァル)」と言って嫌悪感を隠さず、政治的な熱狂によって導かれる政治を否定しさっていた。 また、当時のドイツの政治状況をちくりちくりと批判し、警鐘を鳴らし、こうも学生達に呼びかける。 10年後にもう一度集まって、同じテーマで論じてみたいものだと。 彼ら学生に、危機的状況を乗り越えて、穏健な民主国家としてドイツの未来を形作っていって欲しいと期待していたことが、ありありと窺えるではないか。 彼の講演を生で聞いた学生達は10年後を、さらにその後をどのような思いで眺めていたのだろうか。 10年後には、ワイマール体制は機能不全の態を表し、1933年にはヒトラーが首相に就任するに至る。 ナチ政権はまさに政治的熱狂が生み出した、ワイマール体制の理想の対極に位置するものだった。 その後、ナチの支配はより堅固なものとなり、誰もが知る通り、ドイツは戦争への道をひた走り、戦争の敗北によって瓦解する。 ロシア革命以上の乱痴気騒ぎと言わずして何と言おう。 こうして見ると、この講演も歴史の徒花になりかかったのであり、何とも皮肉を感じてしまう。 それでもなお、時代を超えて生き残り、我々にも訴えかけてくるものがあるのは、さすがに誰もが認める名古典にして名講演と言わざるを得ない。
第1次世界大戦敗戦後のドイツを憂うマックス・ヴェーバーの声を聞け
古典といえども今でも「政治」を考える上では色あせない1冊。 この本は、マックス・ヴェーバーが亡くなる前年に、ミュンヘンの学生団体の公開講演をまとめたものである。当時のドイツは第一次世界大戦に破れ、ロシア革命のあおりを受けて、国内は革命への機運が高まっている不安定な状態だった。そんな状態だからこそ、マックス・ヴェーバーは、ドイツの若者に対して、「政治」をきちんと捉え、国家の指導者たるにふさわしい姿勢と求めて語った。  マックス・ヴェーバーは、政治家の必要な資質として、情熱と責任感と判断力を挙げる。特に、単なる情熱だけでなく、その情熱が責任感と結びついたものであり、冷静な判断力で、自己陶酔を抑制することを求める。それは、政治が、権力獲得のためのものではなく、将来と将来に対する責任であるからである。  なんといっても、最後は思わず読んでいて熱くなる。この最後はぜひ、読者自身の目で見ていただきたい。熱い気持ちになるとともに戒めのようなものを感じるはずだ。最後の言葉は、政治家だけでなく、まちおこし活動をしているものにも通用するし、社会に対して変えようとアクションを起こしているリーダーにも通ずる言葉だ。
読むたびに新たな発見。
古典というのは大したもので、読み返すたびに新たな発見があるものだ。以前読んだ際は、政治家の倫理について述べた後半部が印象に残ったが、今回再読して感心したのは職業政治家の諸形態について論じた中盤部の記述である。 そこを読むと、最近の日本における小泉総理の族議員に対する勝利という現象が、十九世紀末の英国における党リーダーと党官僚の名望政治家に対する勝利という現象とぴったり重なることが分かる。そこから帰結するのは、国会議員の総イエスマン化と、デマゴーグに導かれた事実上の人民投票制の到来である。 ドイツ流分類学の最も良質の部分を受け継いだヴェーバーの簡明な分析は、読んでいて小気味良い。翻訳も読みやすいので、是非手にとって見てほしい。



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もしも英語ができたなら‥
 大東亜戦争は、つまり「文明の衝突」であったということになろうか。 腹黒い欧米の罠にはまった日本は、未曾有の敗戦の憂き目を見た。  かつての歴史を否定し、文化を否定した戦後日本人に、歴史の再検討をし 日本の誇りを取り戻せ、と本書は説いているのだと思う。  黙っていれば、受け入れたものとみなされる。 抗議の声を上げなければ何事も変わらない。 竹島等の領土問題、日本海呼称問題、拉致問題、食品問題、政府は相手の立場ばかり 慮っていて、肝心の日本国民はないがしろにされている。  核を持つことで発言力が増すならば、持てば良い。  そんな決断力を持つ政府を作るために声を上げ続けなければいけない。  明治以降、日本が生き抜くために流した血を無駄にしないためにも、 日下、高山両氏にはまだまだ頑張っていただきたい。  とりあえず、そんな日頃の鬱憤を晴らしてくれる一冊。
読後はただ一言、ありがとう
感動・瞠目・注目したエピソードを本書の扉ページの空きページにページ番号とともに書き抜きながら読み進んだが、とても1ページには書ききれなかった。特に戦前、戦後のビルマ、マレーシア、ハワイなどでいかに日本がアジア諸国に対して気骨のある行動をとったか、ということがこれでもかとばかりに二人によって述べられる。特に高山さんは後学の徒のためにそれらの事実を述べた新聞記事などの典拠を必ず記しておられる。これらはいずれも日本のマスコミが殆ど伝えていないことばかりで、いかに日本の新聞テレビが日本の悪いことばかりを伝え、日本が諸外国で高い評価を得ている側面を意図的に隠しているかがよく分かる。まさに誰が読んでも青春の?血がたぎる一書である。
二人の志士が大輪の華を咲かせる!
私は高山氏のファンで何冊も最近の短編コラムを集めた本を読んでいるため、対談とはいえ、正直、それ程期待してなかった。ところが、予想に反して、「日本人」「日本文明」「日本の歴史」のエッセンスが詰め込まれた対談本となった。 序盤は高山氏の最近の短編コラムで取り上げたテーマを二人で語り、最初の「予想」通りの展開でしたが、途中から、近代史論に入り、「太平洋戦争」史観=東京裁判史観=「白人は正義」史観に真っ向から挑む、大東亜戦争史観=日本人の視点からの史観をこれでもかとブチまける。個人的に大東亜戦争関連の本はたくさん読んでいると思っていましたが、それでも初耳の東南アジア諸国でのエピソードを披露され、短編コラムでは味わえなかった高山氏の知識の深さ&洞察力の鋭さを再確認しました。 読んでいる途中、歴史本を読んでいる気になってしまいましたが、二人が訴えたいことは、多くの心ある日本人同様、 <日本を真の意味での「主権独立国家」に戻すために自力で立ち上がれ!> <その気概を失った昨今のニホン人は先人たちの気骨の精神を学べ!> ということです。 まるで、かつて亡国した「李氏朝鮮」末期の状態に近い今の日本。 「日本国憲法」と呼ばれる占領基本法の前文にある「日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」という近隣諸国への隷属宣言を完全否定する必要があります。 日頃、反米左翼の輩が、何故かアメリカ人が作った「太平洋戦争」史観を「真実」とし、GHQの占領基本法を金科玉条のごとく持ち上げながらも、「アメリカに追従するな」という究極の矛盾。 「左翼」育成大学として名高いICU(国際基督教大学)出身の知り合い(その後、東大の大学院に進む)に、大東亜戦争史観で歴史を語ると、「あなたの史観は間違っています。私は大学で、ちゃんとアメリカ人が英語で書いた歴史を学びました」と言われ、愕然としてしまいました。 彼女はこの先もずっと「カウボーイは正義の味方、インディアンは悪の権化」と思いながら生きていくのでしょう。
同色対談
日下公人氏と高山正之氏による、「異色」ではなく、似た者同士の最強の「同色対談」 二人とも世界(の外交)は腹黒いと考え、日本人の「同じ人間だから話せばわかる」 という無意識の世界観の甘さを指摘する。 読み進めていくうちに、二人の辛口思想は歴史観から来ているのだなと納得。 例えば、 第三章 「アジアは一つ」という大幻想 第四章 「白人絶対」の時代を終わらせた日本の力 第五章 再び、「世界が畏れを抱く国」に 第六章 付き合う国は日本が決める   等々、各章の題名から、内容がだいだい見えてくるのではないかと思いますが、 要は、近代世界史(第二次大戦)のなかで、日本はけして悪い国ではなく有意義なことを 行った国だ。もういい加減、「反省」などやめて、自分の足でしっかり立ちなさい。 という意味なのでしょう。(言い方はこんなに優しくはありませんが) 高山正之氏は、書き言葉より話し言葉の方が一段と過激。 日下公人氏は、切れ味鋭い独特の言い回しが印象的。 自虐史観を抜け出している人は思わず笑ってしまうことでしょう。



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アフリカのいまを知ろう (岩波ジュニア新書 (588))
アフリカ開発援助の新課題―アフリカ開発会議TICAD4と北海道洞爺湖サミット (情勢分析レポート No. 10)
地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す
アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書 新赤版 1146)
最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?
中谷 和男(翻訳)  
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そううまくいくか
1.私なりに内容をまとめると  世界には繁栄と無縁な10億人の人がいるが、それらの人が所属国は4つの罠にはめられて身動きが取れない。これを放っておくと他の50億人にとっても不利益である。そこで、これらの国の貧困問題を解決するには、成長が大事である。その成長を促す手段4つを、的確に、かつ効率的に取り入れるべきである(罠と手段については本をお読みください)。 2.評価  単なる著者の哲学ではなく、資料を駆使した上での結論のようなので(p314〜)、門外漢の私ごときの批判は難しい(資料に当たっていないので)。ただ、直感的には、疑問がある。  まず、輸出品目を増やすのは可能か?天然資源に比較優位があれば、輸出品目を増やす気になれないオランダ病もやむないだろう。その克服ではなく、それを前提として政策を立案したほうがいいのではないか?  第2に、貿易の多様性についてだが、50億人の人には多様性は不要なのか(農業補助金はその手段だろう)。10億人と50億人でルールが違うのはやむを得ないとは思うが、違った場合の不都合も考慮しなければならないのではないか。  第3に、軍事介入について。有益だとしても、どのような哲学に基づくべきかが明らかでないし(今までの価値観を超えないと他国を納得させられないだろう)、国際連合の問題にも踏み込めていないように感じた(拒否権をなくしたほうが介入は容易になるはずで、なぜ提言しないのだろう。既得権保護か)。 3.結論  長所星5つ、短所星3つ。短所は所詮直感的なものなので、星1つ減らすにとどめ、星4つ。
同じ、人類、として。
著者は、最貧国が経済発展に見放されてしまう”罠”を、4つに分類。 それは、「紛争」、「天然資源」、「内陸国であること」、「小国における悪いガバナンス」。 翻って、なぜ、わたしの住む日本が経済発展を遂げられたのかを考えてみる。 勤勉な民族性? 日本人は、まじめだから? それを全否定はできないけれども、海に囲まれ、これといった天然資源のない日本は、地理的なラッキーに助けられていたんだ、ということを改めて強く感じた。 注意すべき点は、最貧国=アフリカではない、ということ。 アフリカにも経済的に比較的豊かな国があり、アフリカ外でも困難に陥っている国がある。 当たり前のようだが、遠い国のことなので、つい勘違いしそうになる。 また、開発援助論の中では、民族の自決権をどうするか、といったことが議題になる。 だが、本書に登場するような国には、それ以前の助けが必要じゃないだろうか。 かわいそうな人々を見て、豊かな日本に生まれた自分はまだマシ、と比較優位に立って終わり、じゃなく、 人類が歴史の中で築き上げてきた人権思想が、世界という現場で、いままさに試されているんだと思う。 ともに生きたいのか、どうなのか、助ける力があるのか、余力がないのかー。 自分という個人単位でなせそうなことを考えたり、実践しつつ、 国家や国連などの行動を、注意深くウォッチしたいという気になった。 と、同時に、日本国内にも貧困が増えてきていることを忘れてはいけない。 遠くを視野に入れることで、足元もよく見える。 かなたの誰かを知ることで、わたしへの理解も深まる。 日本語を読める人になら、誰にだっておすすめしたい1冊だ。
今日の開発問題を考える際の一級書
アフリカ問題の大家が、今日の開発問題の盲点に挑みます。ただ、大家といっても単なる学者ではありません。世界銀行の実務官僚の経験にうらずけされた実体験・豊富な資料を駆使して論議を進める姿に、英国の開発学の層の厚さを感じました。 中味といえば、漠然とした、植民地後遺症論やグルーバル化悪化論を退け、エビデンスを示しながら、先進国援助の問題、内戦がビジネスとなっトいるアフリカ諸国の現実、有効な対策を打ち出せないでいる国連機関の姿、独善的なNGOの現状を横軸に、ボトム・ビリオンの国が陥っている4つの罠の惨状を縦軸にして、世界人口の底辺の人々10億人の苦悩を記しているのは圧巻です。アフリカ問題、いや開発論を学ぶ方にとって必読の本と言ってけして過言ではありません。今、世界経済が沈滞に向かう中、このような人々の生活をどう守るのか、いや、寧ろボトムビリオンが広がるのをどう防ぐのか。80年代の世銀の構造改革路線の轍を踏まない工夫が求めれている時に、思考の出発点を提供してくれます。そういいながらなぜ評価が低いのか。それは訳文の質です。原著に忠実に訳さんとするあまり、日本語として非常に分かり難い表現が多々みられそれが核心的な部分の表現の箇所に多かったのが非常に残念でした。海外出張中にアメリカの空港で原著を入手してそちらで読了しました。少々辞書を引く労力を厭わなければ原著を読まれるのも一法です。
貧困国問題の冷静な分析と提案
世界の極貧国についての原因分析と、それに対する対処を提案した本。先進国/途上国という二分法の中から脱出し、途上国の中にさらに最底辺国という区分を設けた。この概念設定により、極貧国を途上国一般の問題から切り離して提示する。こうした極貧国はアフリカに多く存在するため、アフリカ中心の議論だ。ただし、極貧であることがアフリカ固有の問題(「アフリカ・エフェクト」)だとは著者は認めていない。 本書は事例を提示した本ではない。アフリカの貧困の実態について、事例を挙げて提示したものではない。それは、ジャーナリストが鮮やかに書いている他の本を見ればよい。本書はデータを多く用いた、抽象的分析と提言の書だ。それも、全体的にきわめて冷静な、ある意味では冷酷な分析だ。貧困から容易に抜け出すことのできない国々の現状と、それに対してできることの僅かさ。その僅かな中でも、できるだけのことをなそうと提言する著者。非情な努力である。それは、こんなに貧しい人々が生きる世界に自分が生きていることへの強い憤りに根ざしている。 著者の分析によれば、極貧国を極貧から脱出できないようにする「罠」は以下の四つである。(1)紛争の罠、(2)天然資源の罠、(3)内陸国の罠、(4)悪い統治の罠。私には特に、天然資源に関する話題に眼を開かれた。資源があるからといって発展できるというより、むしろ資源がある方がその国を発展から遠ざける。また、資源国では民主主義よりも独裁制のほうが発展は早いという指摘。さらに、近年の中国が行っているアフリカ資源外交は、アフリカ諸国を貧困に固定するだけだ、という主張。 これら原因の分析に続いて、グローバル化が極貧国に与える影響が考察される。人・金・物の高い流動化は、逆に極貧国から資本を逃避させる結果になっている、と。以上をふまえて、四つの対策手段が語られる。(1)資金援助/技術援助、(2)軍事介入、(3)法の制定、(4)貿易政策。これらは現実的に語られている。資金援助が功を奏さないのはなぜか。ある時期までは技術援助のほうが有効であること。また、軍事介入の必要性。イラク、ソマリア、ルワンダ、マダガスカルの例が引かれる。さらにあまり重視されない、法制定の重要性と、関税を中心とする貿易政策について。加えて、これらの対策の検討に基づき、各国の援助政策の誤りや、クリスチャン・エイドなどNGOの誤りが鋭く批判される。 これらの分析や対策を「上から目線」「新植民地主義」「逆差別」と批判するのはたやすい。しかし実際に先進国は「上」にいるのである。軍事介入をしなければ、国は好転しない。極貧国を特別待遇しなければ、彼らは貧困から抜け出せない。理想を語ることは容易にできても、現実にできることはごく僅かだ。本書を貫くのは、現状についての冷めた眼と、ある種の諦念であろう。 私には次の言葉が印象に残る。特にアフリカ援助に携わるわけでもなく、アフリカ問題が単に「遠い国のことでしかない」私には。 「しかしあなたの仕事が開発と関係がないために、自分には責任がないと考えてはならない。あなたは市民であり、市民であることには責任が伴うのである。[...]この過失【第二次世界大戦における政治的過失】によって彼らの子供たちは大量殺戮されることになった。再び回避可能な大惨事へ迷い込むことを阻止するのは、すべての市民の責任である。/そして、それは避けることができる。」(p.285)
“グローバルな公益”としての「10億人諸国」の問題解決
 先ず、本書の原題である“The Bottom Billion(ボトム・ビリオン)”とは、豊かな世界の10億人あるいは開発途上にある40億人とは別の、後述する「罠」にかかり、「グローバルな堆積の最下辺に押し込められてしまった」(本書p.26)10億人の人びとを指す。地理的には、その人口の70%を占める「アフリカが問題の核心」(p.20)であり、《アフリカ+α、58ヵ国の小国》が対象となるようだ(p.21)。  著者のポール・コリアー(Paul Collie )教授(オックスフォード大学)は、アフリカ(経済)研究等を通じて「今も世界経済システムの底辺にある開発途上国」(p.5)の「問題の核心は成長であると確信」し、「彼らの社会における成長プロセスの失敗が、私たちの関心の中心でなければならない」(p.27)とする。「そして、この失敗からの救済が開発の課題の核心でなければならない」(同)という。  教授は、開発途上国の成長を阻害する「紛争の罠」「天然資源の罠」「内陸国の罠」及び「小国における悪いガバナンスの罠(=失敗国家)」を当書で指摘し、これら4種類の「開発の罠」に対する対応策・解決策についても、独創的な所見を披陳している。何よりも「底辺の10億人の国の問題を改善することは、グローバルな公益」(p.298)であり、教授は「定量的な研究」(p.286)の成果で、左右両派の浅薄な論理を一蹴する。  最後に、「軍事介入」についてであるが、教授はその有用性・有効性を認め、「例えばドイツと日本は永遠に彼らの歴史に隠れていることはできないし、国連安全保障理事会に入っていないことを不参加の口実にすべきではない。日独は大国であり、果たすべき重要な任務をもっているはずである」(p.300)と述べる。この点に関しては、教授の立言を字義通りに受けとることなく、日本の国情に合った慎重な対応が必要だろう。



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ジャンル内ランキング:473位  
カスタマーレビュー数:66

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核恫喝・内部浸透・間接侵略。思い当たることばかり。
本書は一人でも多くの方、特に若い方に読んでほしい。 災害や戦争、核攻撃に備えることをリアルに肌で感じさせて くれる一冊なのです。 戦場で軍隊同士が激突する、それだけが「戦争」の貌ではない。 本書にもあるように、軍事力の激突の前に、それはすでに始まっている。 (孫子ならずとも)無血で目的達成することが至上の勝利。 彼等はそのためなら何十年・何百年でもかけるつもりだ。 唯一の被爆国、とか言ってるなら、 核兵器に関する科学的な知識と民間防衛の普及を図りましょう。 愚かな戦争は二度と繰り返さない、とか言ってるなら、 まず法体制をきっちり整備して内を固めましょう。 チェック&バランスで組織の暴走をさせないように。 人は城、人は石垣、人は堀。 投了するにはまだ早すぎます。
すばらしい
私は共産党員です。ですが、この本は、平和を保つ私達日本国民の義務、責務が私達の頭から抜け落ちていた事を思い知らされた。 とくに、227ページの言葉にショックを受けた。 侵略にも、色々あって、目に見えない戦争もあるのだと言うこと。 私の立場にも大影響を与えた一冊であり、今の日本人には必読と思います。 軍事書のように思ってましたが、災害対策、非常事態対策などにも役に立つと思います。
今の日本人はまず意識改革から
 これは、日本と同じように平和を希求する国として、永世中立を謳っているスイス政府が国民に対して配布している本です。ともに平和を求めるということでは同じ理想を目指しているんですが、日本と違って、スイスは非常にリアリスティックにその平和というものを考えて、どこにも与しないが自国を徹底的に守る兵力は持つべきだと考え強大な武力を背景に平和を守ろうとしています。このあたりは、諸国の良心に期待して、基本的には武力を頼みとしない、頼るべきものは国際世界であるとする日本とは、本当に全然方向が違う方法で平和を勝ち取ろうとしている国です。  平和を守ると考える日本にとっては、世界のデフォルトは平和であるという世界観があり、平和を勝ち取ると考えるスイスにとっては、世界のデフォルトは弱肉強食だという世界観があるのでしょう。この感覚というか世界観の違いが両国の姿勢によく現れているのがこの本だと思います。  著書の中で、スイス政府は平和を勝ち取るためには、一糸乱れぬ統制こそが大事であり他国に攻め入られない為のものであるとして、いざという時に国防がスムーズに出来るように全員が軍隊経験を持つべきだとするし、いざ守備をするためには家族の安全がなくては力が出せないだろうと考えシェルターの作成と維持を義務づけます。彼らにとっては、それもまた他国に国民を人質にされないための方策であり、平和への努力の一つです。  それに引き換えると日本はどうでしょうか。諸外国の圧力や甘言、世論の雰囲気で諸外国に事実上押さえ込まれつつあります。また海外から不平等に扱われても自らの正当性を主張できない状態になっています。これはかな危険な状況です。しかし、それすら理解できていない人の方が圧倒的ではないでしょうか。勿論、今現在注目されている自給率の低さもこういうことの延長線上にあります。  自分は軍国主義者でもなければ右翼的な考え方もありません。  どちらかといえば、かなり平和主義者です。  けれど、その平和を維持する為に、武器を携えることはともかくとして、平和を維持して自分や自分の家族そして子供達の世代の日本人が平和に暮らせるようにするためには、まず平和というのは何もしなくても自然にあるという世界観は変えないといけないし、日本もそろそろもっと真剣に今後の世界の中で平和を維持するためにどういうことをしていかないといけなかを考えるべきではないかなと思います。武器だけでなくても平和を守る為にできることはたくさんあるし、それを意識することがまず先決であると強くこの本を読むと思います。
日本流の民間防衛が必要
日本人にとってこの本の本質的価値は「戦争のもう一つの様相」という項目からである。ここには物理的攻撃に対してではなく、精神的攻撃に対しての対処の仕方が書かれている。この「戦争のもう一つの様相」という項目で書かれている事柄に現在の日本がいくつも当てはまることに危機感を感じる。「スイス」や「わが国」と書かれているものを「日本」と置き換えるとすんなり理解できるであろう。 私は日本へのスパイ活動は徐々に成功を帯びてきていると考える。一例を挙げれば、日本のある有名私立大学で国際政治学を教えている在日の某教授は韓国の新聞社に「日本の外交は誰が動かしているのか。」という名のコラムでこう寄稿したことがある(現在その記事はなぜか削除されている)【日本の大衆に迫る形と言語でもって批判的なメッセージを伝えること、『日本の良心勢力』だけでなく、政財界の指導層にも食い込むため努力すること〜中略〜在日韓国人の地方参政権獲得とともに、日本社会を内側から変化させる方法も進めなければならない。】と。 最後に本書の「戦争のもう一つの様相」から一部引用しよう。 「戦争のもう一つの様相はそれが目に見えないものであり、偽装されているものだけにいっそう危険である。それは国外から来るようには見えない。カムフラージュされてこっそりと国の中に忍び込んでくるのである。そして我々のあらゆる制度、あらゆる生活様式をひっくり返そうとする。このやり方は最初は誰にも不安を起こさせないように注意深く前進してくる。その勝利は血なまぐさくは無い。そして多くの場合、暴力を用いないで目的を達する。」
山と海
谷ごとに文化が違いライバル心を持つ国。 軍事上の要衝であったため、近隣の強国の間を綱渡りした国 国を守るため、国民を傭兵として各国に提供した国。 血筋を残すため、親兄弟が敵対する国々に分散して戦った国。 この本は、自国の民主主義体制を守るために国民のために作られた本。 この本の重みは、スイス史を知っているとより分かるでしょう。 漫画のような感覚で字面を追うだけでは理解しにくい内容。