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【くちコミ情報】
普通の公立中学校の顔
よのなか科、ドテラ、夜スペ、地域本部とこれまでの教育業界とは一風異なった取り組みを積極的に展開し、マスコミなどで広く知られることとなった和田中。ある意味日本で最も有名な公立中学校かもしれない。本書では藤原和博校長を中心とした和田中学校の学校改革について学者の視点から考察を行ったものである。 学者の視点からと言う意味で興味深いのは和田中の「普通の公立中学校としての顔」を強く意識して和田中の変化を捉えようとしたところである。特殊な取り組みばかりが注目されるが、学校生活の殆どの場面は従来の普通の公立中学校と何ら変わることがないのは当たり前であるが、忘れかけてしまう視点である。この普通の中学校としての側面から見て初めて藤原校長の改革の是非が明らかになるような気がする。世に民間人校長がもてはやされるが、成功例はごく一部というのが実情である。普通の公立学校としての側面を活用することこそが成功につながるのであろうと思う。 本書でもふれられているが、和田中の学校改革は藤原校長の有名性に依拠する部分が多いのも事実である。どこが全国の学校一般にも応用できるのか、どこが和田中(もしくは藤原校長)以外には適用不可能なのか。普通の公立中学校という視点は和田中の学校改革における普遍性を考察する上では不可欠のものである。 藤原氏は大阪府の教育アドバイザーとなった。大阪府の教育改革にどれほど寄与できるか今後に期待したい。一個の学校にとどまらず、大阪府という巨大自治体における改革を成功させることができれば日本の教育は大きく変化するだろう。
初期藤原メソッドの検証
本書は藤原和博氏が民間人校長として和田中に赴任した2003年度の入学生徒に焦点を当て、エスノグラフィーと学力・質問紙調査による「和田中」の実態を検証したものである。 いわばこの成果は変革初期の和田中学校における「よのなか科」や土曜寺子屋などの取り組みを踏まえたもので、2003年と2005年の学力調査の結果を見ると、比較対象とされたA中に比べ、成績分布にムラがあり、平均点の下がり具合も和田中の方が大きいように見える(実際に統計的にも有意であるという)。しかし、藤原校長自身が指摘するように(92頁)、初年度においては生活貧困層も多く抱えており、そのような文化階層を考慮した上で(53-54頁)比較した場合、この差はなくなっている。また、学習意欲・態度に関する項については行動面での改善はないものの、特に不利層においては意欲面での改善が見られたという。 この結果をどう見るかについては私自身も評価しがたい。ただ、はっきりといえることはここでみる和田中の実態と現在の和田中の実態は多くの点で乖離しているということである。本書に示されているように、現在の和田中の生徒数は2003年度の2倍近くの人数となっている状況である。そして、学力テストの成績に関していえば、とりわけ英語については区内でダントツの1位となっている。 ここで一つ問わねばならないのが、本当に英語コースなどを取り入れた「後期藤原メソッド」の成果としてこのような好成績が生まれたのかという点である。学校希望制度を取り入れている杉並区においては藤原校長のメディア露出の影響も受けながら2003年度入学時の文化階層とは大きく異なった(むしろかなり裕福な)層の生徒が入学してきている可能性が高い。その土台があるからこその好成績ではないのかという仮説は否定できないし、このためには別の検証が必要となる。 また、今年大きく話題になった「夜スペシャル」に関する議論、公教育における私企業の参入についての有効な見解というのは調査対象から外れているということで本書で言及されてはいない。主題とは関係ないといえども、私自身も関心があったことだったので、残念な感じはあった。
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【くちコミ情報】
薄いながらも中身は濃い
苅谷氏の本は初見であったが、確かな政治学者である山口氏が共著するだけある教育学者だった。 前半の苅谷氏の公演を読み、格差を「不平等」と言い換えるセンスのみならず、国家予算と事務教育費、双方の伸び率が比例しない点、PISAの数学力変化グラフで、学力の低い子が更に低下した点、やがて来る教員不足などの指摘などを読み、実際にそれを聞きたくなった。 対談部分でも、フィンランドモデルを紹介する本を時折目にするが、北欧型でも能力が高くても職に就けないとの問題点を、指摘しているのを目にしたのは初めてだし、「良い事てんこ盛り」な教育政策の矛盾についても考えさせられた。 教育は、経済政策などと異なり、短期軸で考えるのではなく、長期的視野でよりよい方向へと教育を変えていきながら、、問題点をそのつど改善していかねばならぬものなのだ。
学力低下は学力二極化!たった3年で「できない子」の学力がますます低下
学力低下に関して、 「順位低下は参加国が増えたから」とか 「錯覚」だといった誤った認識が広まっている昨今、 本書p.20で取り上げられている 「PISAの数学学力の変化」を見てみると、 2000年から2003年のたった3年間で、 できない子(下位25%)の学力が40%も落ちていることがわかる。 つまり、学力低下=学力下位層の大幅な学力低下=学力二極化なのだ。 「ゆとり教育ができない子をますます低下させている」 という指摘は、そういう意味で正しかったことを示しているだろう。 本書ではこうした学力問題が中心となる論題ではないが、 特に学力下位層へのケアを含めた「教育の平等」について、 国や都道府県レベルでの教育予算の少なさを指摘している点や これまでの教育改革の「ポジティブリスト」的な発想の転換を促す点など、 今後の格差社会と教育改革の問題について目指すべき方向性を示す一冊であろう。
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| 追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)
¥ 1,155(税込)
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【くちコミ情報】
多様な現代米国思想をジャーナリストの眼で描いた好著
試みにリベラルという言葉を広辞苑で引いてみると自由主義的あるいは自由主義者となっている。従来の日本語の感覚からいうと自由を重んじて政治的には統制経済に反対の立場に立つ人物がリベラリストとなるが、どうも違うらしい。 米国政治は共和党と民主党の2大政党制といわれる。共和党は保守政党であってネオコンとはそれが先鋭化したものとして日本でも揶揄される傾向があるが、そう簡単なものではないらしい。また民主党はリベラルといわれるが、ハイエク流の自由主義を指向しているわけではなく、著者は誤解を避けるためリベラル(進歩派)としている。これらのことは米国政治や思想に詳しい人にとっては自明のことなのかもしれないが、素人にとっては理解のために有難い。著者はジャーナリストであり直接、思想家に会って取材をする強みがあり説得力を増している。 米国ではエドマンド・バークの保守思想を継承する思想家が戦後のラッセル・カークまで現われなかったのは意外であった。ネオコンの出自についても興味深い事実が語られる。そして米国ではどのような態度を取るにせよ、宗教(キリスト教)と思想は切り離すことができないことが実感される。 確かに現代の米国の(政治)思想は多様であり、また同じ思想家においても変化して止まない。そしてサブプライム問題を契機とする世界的な金融崩壊の脅威の中から今後、米国でどのような思想が生まれてくるのであろうか? 著者には是非、フォローしてもらいたいものである。
ジャーナリストが描く思想
ジャーナリストが思想を描くとこうなるのか。まれに見る本だ。漱石の「こころ」の英訳が生まれる背景にあった思想史のドラマを描くエピローグは白眉だ。ハイエクと江藤淳が、不思議な縁でつながっていく。そのドラマを読むと、思想のグローバルな動きに粛然とさせられる。
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【くちコミ情報】
「易経」とワンセットで
岩波文庫の「易経」だけでは、何がなんだかちんぷんかんぷんだった時に、本書に出会いました。その結果、今まで疑問だったところが一気に晴れ、一つ一つの卦が風景を伴って理解出来ました。 易経を単なる占いの本とせず、道を解き明かす書として扱っている点にも好感を持ちました。 「易経」の解説書として、「易経」とワンセットで買うことをお勧めします。
実用にも使える
哲学書として読む方と(晩年の孔子が本を綴じたひもが三回擦り切れるくらい熟読したという伝説がある)、占いの書として実用的に使おうとする方とあるだろう。本書はその両方の目的に堪える。 簡単に占いについて書いておこう。洋の東西を問わず、占いは二種類に分けられる。星占術と偶然性を利用したもののふたつである。例えばカバラなどは前者に、タロットは後者に分類される。もちろんおみくじは後者だ。易は、東洋占術の中で代表的な後者に属するものだ。じゃらじゃら(メドギという植物を使う)でもコインでも占い可能である。 注目すべきは易の特異な思想だ。通常、占いは「変更不可能」を特徴とする。実際、始皇帝が、自分の満足のゆく結果がでるまで占いを続けさせ、それならば占いなどする必要などない、と言ったエピソードは有名だが、本書にも「二度占ってはならない。占いが穢れるからだ。穢れると真実は告げられない」とはっきり書いてある。 では、不幸にも「凶」の暗示が出たらどうすればよいのだろうか。ここに「易」の特徴がある。易の思想は、災難をあらかじめ知り、その被害を少なくするために未来を予知する、ということにある。つまり、人為的な努力によって未来は変更可能だと考えるのだ。ここに未来は固定されたものとみなす西洋占術との大きな違いがある。 あとは原文に当たっていただきたく思う。何か一つでも西洋の占いに親しんでおいたほうが、易の特質に対する理解は深まるかもしれない。
中国には二千五百年前にコンピュータ演算理論があった!
多くの易の解説書の中でも、この本の分かりやすさは群を抜いています。易をおいて解説を読んでもその精度にいつも感服してしまいます。哲学書としても、人生の指南書としても、易占の書としても、繰り返し一生使えます。たとえば何年もかかる宇宙旅行に出かけることになり、百万冊の本の中からどれか一冊だけ宇宙船に持ち込むことが許されるとしたなら、躊躇することなくこの書を選ぶでしょう。そのくらい価値のある本だと思います。
活字が大きく読みやすい「易」の本
陰陽道や風水などの基礎に陰陽五行説がある。この考えには三つの柱がある。宇宙は陰と陽の二つの様相から成り立っているという『易経』の説く陰陽説、万物は水、火、土、金、水の要素の相克ないし相生から成っている五行説、そして星占いから派生した十干十二支の考え方である。これらが組み合わさって複雑な陰陽五行説は成り立っている。さて陰陽説であるが、まず宇宙が混沌とした状態、始源としての「大極」が措定される。そして万物すべての状態の基本型として陰と陽の二つの様態があるとする。さらに陰陽が組み合わさり太陰、少陽、少陰、太陽の四象、さらに乾、坤、震、巽、坎、離、艮、兌の八卦を生み、さらに八卦を組合せて六十四卦を生む。本書は活字が大きく読みやすい。
易を読むならこれがベスト
これ以上の本を知りません。かれこれウン十年のあいだ、さまざまな易経の本とつきあってきましたが、結局この本以外はみな手放してしまいました。内容が格段に上質で、学問として易に触れる方も占いに使いたい方も、これ以上の教科書はないと思います。 ~~ あえて欠点をあげるとしたら(ほんとうは欠点なんて無いけど)解説がとても丁寧で長いことと(笑)かなり大部なこと(笑)。手っ取り早く占いに使いたいひとは読むのに時間がかかってイライラするかもしれませんし、なにしろページ数が多いので持ち運ぶのに苦労します。そういう意味でも、文庫版をぜひ復活させてほしいです。~
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ひとりひとりが勝者であるべき、教育
この本では、テストがないのに国際学力テスト1位のフィンランドと、 最近の日本の「全国学力テスト」とその結果による学校ランキングという 教育改革のモデルとなったイギリスの教育を比較することで 現在の日本で本当に必要とされる教育モデルを探っています。 当たり前かもしれませんが、どこの国でもよりよい教育を 子どもに与えようと研究、努力はしています。 日本での全国学力テストの再開も、その一端ではあると思います。 けれど初年度の結果は、教員などによるテストの不正が行われるなど テストの結果を重視するあまり、本質を損なっていると思われます。 フィンランドでは、少人数クラスで個々の生徒にあった授業を行います。 これは、お金もかかり、手間もかかります。 テストのように成果も見えづらいです。 支える人々の覚悟がいる方針だと思います。 けれど教育は、ひとりひとりの子どもがそれぞれの人生を 切り開く礎とするためになされる、重要なことであるはず。 「敗者があってはならない」という著者の言葉を 胸にとめておきたいと思いました。
アングロサクソンモデルとフィンランドモデル
海外で行われている教育というものは日本の教育の反面教師であったりする。 特に、この本は「競争したからといって学力」がつくものでもないという「イギリスのサンプル」を例証をあげて見せてもらえる。 これをアングロサクソンモデルとして本書では図解してもいる。 競争は人間の心理に圧力をかけて、学力を上げる仕組みだから、心が負けるといろいろ病理が噴出す仕組みでもあるのも当然のはずだ。 日本の目から見れば、壮大な競争原理の負の面を見せ付けてもらえる実験をしてもらったと思うが、はたして、教訓を生かしているといえるだろうか。今、日本は過去に戻ろうとしている。 この本には、もう一つ、フィンランドモデルがある。 短く書くとすれば、新自由主義を上手く消化し、新保守主義を上手くかわしたため、業者委託の金銭腐敗的なテスト会社競争原理主義(?)や、教師への圧力と上に媚びへつらう成果主義が生まれずに、現場に自由と責任をあたえ、やる気をもたらしたようである。これも心理的な問題で、やる気が学力にどう影響するかを、教育現場という括りで示していると思う。 日本の教育は、興味関心、学習への動機とか生徒の心理的な面もそうだが、教師の心理も軽視しすぎているのではなかろうかと思われた。
面白い内容でした
教育というのも、その国の経済状態やどのくらいまで成熟された社会であるかと言うのも総合的に見えるのでしょうかね、当然社会的な哲学も非常に関係しているというのもわかりました。 若干、ひっかかる点を見ると、どうしてもイギリスの教育はリーダーを育成するための教育を進めている感じがしました。全体的な教育レベルではないのですが非常に優秀な人材を輩出しているのも確か。 でも、社会の反映と教育は密接な関係を持たせているので、一概にフィンランドがすばらしいから日本に紹介したところで日本の教育自体が変わるのか?若干疑問に思いますが、少なくとも進んだ教育を少し触れて勉強になりました。
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| 歴史物語 朝鮮半島 (朝日選書)
姜 在彦(原著)
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朝鮮半島の歴史の入門書
朝鮮半島の歴史について一貫してかかれれた書籍はそれほど多くない。 どうしても、それぞれの王朝や、時代、もしくは特定のジャンルについてこだわる傾向の書籍が多いのだ。本書はそういったこだわりを捨てて、朝鮮半島丸ごとについて、簡潔にわかりやすく解説されている。 今までさまざまな朝鮮関連の書籍を読んでも理解できなかった、各時代における中国、日本、その他西洋社会との関係について、非常にわかりやすくまとまっており、やっと大まかな概要が理解できた。 よい本だと思います。
簡潔で読みやすい本。初心者にも中級(?)者にもOKでは
著者は、古い「在日」の歴史家で有名な人である。しかし、最新本は「新しい」。 読みやすく、手ごろ感がいい。イデオロギー「ゼロ」の「まっさら本」であることも、読む側に「身構え」を持たせなくていい。 初心者にもお勧めだろうし、何冊か「その手の本」は読んだけど、何だか頭の中でまとまっていないぞ、なんて人なんかにも「整理本」としてもいいかもしれない。 また「興味なんてないぞ」と思いつつも「半島」の歴史ぐらい「さらっと」知っておきたい人にもお勧めである。「さらっと」読めるでしょうから。
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漱石研究の第一人者である大学助教授・石原千秋が、中学受験に“はまった”異色の1冊。もっとも、著者が受験したわけではない。彼の息子が、である。本書は、中学入試に挑んだ一家の顛末(てんまつ)を赤裸々に描いた体験編「僕たちの中学受験」と、国語の入試問題の説き方を手ほどきした国語問題読解編「入試国語を考える」の2部で構成される。 体験編ではまず、中学受験に乗り気でなかった父親が、なぜ受験を是とするようになったのかが語られる。その心変わりを追っていくと、現在の教育制度や公立学校が抱える欠陥が垣間見えてくる。だが、中学受験は生易しいものではない。模擬試験の偏差値に一喜一憂し、志望校選びに翻弄(ほんろう)される日々。それらは冷静な筆致でつづられているものの、「『中学受験は親の受験』という言葉が身にしみた」とのひと言に、著者の本音がのぞく。 一転、国語問題読解編では、著者が文学研究者としての本領を発揮し、有名中学校の入試国語の「過去問」を徹底分析。読解のルール、ノウハウを指南する。ロラン・バルトの「物語は一つの文である」との考えをベースに、問題文の把握の仕方、設問の意味などを克明に解説する。この法則さえ会得すれば“入試国語恐れるに足りず”、というわけだが、果たしてうまくいくかどうか…。 400ページとボリュームはあるが、一気に読ませる。子どもの中学受験を考えている親はもとより、中学受験に無縁な人にも一読を強くおすすめしたい。(清水英孝)
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文学研究者の感想文
論理性に欠ける記述は文学研究者としての資質からでしょうか。単純化した理論の展開と結局は国語力でという解説になっているので、受験には役に立たないでしょう。単純化に惹かれる人は多いのでしょうが・・・。この程度のことは進学塾で論理的に教えてくれます。家庭学習にしても、他の参考書をやったほうがよいと思います。この手の本は10冊以上読みましたが、受験に役立つものはありませんでした。盲目的でない人が国語教育を考える意味で読むにはいいかもしれませんが。
鋭いけれど、、、
よくありがちなテクニックに終始した書と異なり、入試国語の一側面を鋭くついている点はさすがである。一方で、専門家特有のシニカルな部分も多々あり(やむをえないだろうが)、子供が読むか、親が読んで咀嚼してから解説するか、は子供の精神年齢によるだろう。 第一部の体験談は面白く読めるが、中学校についてのコメントはかなり主観的。筆者の好みに合わない学校については「悪口」に近い記載があり、後味が悪い。また、国立大附属の設立の経緯、使命を私立のそれと誤認されている。第二部の入試国語論が秀逸なだけに残念だ。「学校案内」ではないので、主観的でも構わないのだが、説得力があるだけに「真に受ける読者がいるのでは」と危惧して、第一部は星1つ。第二部は星5つ。平均して星3つ。
中学受験にハマル親御さんたち
受験を控えた小学6年生当人よりも、スポンサーである親御さん達の方が ピリピリし始める季節になりました。本書がそのスポンサー達のマイナー トランキライザーであることはいまさら申すまでもありません。 その大きな理由は、大多数の親御さんと著者とが年代的にも環境的にも 似通っていること、そして、誰もが共通して感じている受験制度の矛盾を著者 が代弁している、というガス抜き感にあることは否定できません。 しかし、本書が類書をしのぐロングセラー足りえた秘訣は別のところにあります。 それは著作を単なる「親子受験格闘日記」に仕立てなかったことで、ややもすると 干渉過多になりがちなこの時期の親子関係をうまく希釈できたことでありましょう。 即ち後半の国語設問研究の部、がその希釈剤、緩衝剤であるわけです。 内容はタイトルとかけ離れたもので、読解法でも秘伝でもない意味不明の代物であります。 学者さんの独り言といっても良いと思います。それでも読者を惹きつけて止まないのは、 その真剣さ、肩の力の入れよう、であります。 合格発表が済めば、あっけなく、ほんとにウソのようにあっけなく崩壊するこれらの コダワリは滑稽ですらあります。日本人のみならずアジア人が走りやすい受験信仰の 根源が科挙による既得権益獲得、にあるとしても、中学をどうするかなんてあまり 意味のないことなんですがね・・・。 私はこの本を7−8回通読し、中学受験を控えた5年生を持つ知人に贈与しました。 もちろん国語参考書としてでなく、自嘲も含めた親バカ小説としてであります。
解説の丁寧な問題集として今なおおすすめ
前半は中学受験体験記、後半は入試問題集といった構成になっています。並みの小学生が解釈論を十分理解できるかどうか(御三家クラスなら独力で読み切れるでしょう)は別として、単純に解説の丁寧な受験問題集と考えてもきわめて良質です。著者の基本的主張はごくシンプルで、以下のようなものです。 「物語は一つの文に要約される」 「どういうことが道徳的に価値があるとされているのか」「その価値観がどのような物語の型や評論の型を作り出しているか早く覚えてしまうこと」 これらの視点が読解・解答プロセスにおいてどのように働くかは、問題篇を実際にお読みになってみてください。
受験体験記として極めて有用です
活字が大きめなので極めて読みやすい本です。 具体的に中学受験を目指す人に、塾や学校の選択にも有用です。 受験国語のことを批判的に書いていますが、 真実をついてはいます。 国語は道徳教育という表現には納得しました。 残念ながら女子御三家などを狙う人には、 多少物足りない感がありました。 私立大学附属中学の意見は貴重な意見と思いました。 駒場東邦、桐朋中学受験の方には必読な本でしょうか。
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PISAショック
PISAショックにより習熟度別指導の問題点が浮き彫りにり、同時にエリート教育も敗北であるという結果が出た。そのような現実がある中で、日本では公立校でも習熟度別指導を推し進め、塾でも個別指導塾が幅をきかすようになるなど時流とは完全に逆の方向に流れている事が分かる。一方でフィンランドのように複式学級制が多いなかで共同学習をとるシステムの成功がみられる。前者と後者は一長一短というものではなくかなり色濃く勝敗を分けている。エリート教育が目指す所の上位層のレベル向上を目指すという目的とは裏腹に共同学習をとっている国に上位層(国際平均の上位10%)と認められる割合でも劣っている。一方、一見共同学習は底上げが期待できるように思えるかもしれないが、意外にも上位層と認められる割合でも上回っており、かつ、 下位層の底上げにも成功しているという具合だ。 途中いくらか納得しかねる論理的飛躍はあるものの、概ね議論は誠実で実りのあるものだった。70ページというボリュームのなかに多くが詰まっている。
両極端な主張が目立つ
私は習熟度別学習制度の導入には反対である。しかし、臨機応変に習熟度別のクラス編成を一部で行なうことに異論はない。 この点、佐藤学氏は習熟度別学習の実施(一部であれ全体であれ)そのものに反対している。「学校の塾化」や「教師の責任喪失」、「サービスへの傾斜」など、公教育の場において習熟度別学習がもたらすデメリットを挙げて批判する。極めつけは、PISAの国際学力比較調査の結果を提示した上で、日本の子どもたちは学習意欲が低下し、氏の持論である「学びからの逃走」が起こっている、として、その原因を習熟度別学習にあると断じている。 この議論は間違ってはいない。しかし、問題は習熟度別学習にあるのではない。氏が同時に論じているように、問題は「地域」「家庭」と「学校」のリンクの在りようなのであって、習熟度別学習というシステムではない。また、PISAの事例の引用も適切ではない。PISAの測定尺度がたまたま成績上位国のシステムに適合していただけである。今回の成績下位国に尺度を併せれば、結果は変わるだろう。その場合、「学力とはなにか」という不毛な議論が再燃するのである。 要は、本書が言いたいことを読者が深読みして、佐藤氏が本当に言いたいこと(「公教育の責任」、「教師の責任」、「地域社会と学校の提携」など)を読めるかどうかにある。その意味で、本書は評価が二分すると思われるし、議論を鵜呑みにするのは論外である。佐藤氏の他の著作を読めば、本書で言いたいことが実は本当の表層に過ぎないことを思い知るだろう。
塾と学校は目的も手段も異なる,と主張
百マス計算・少人数指導・習熟度別指導はすべて「学校の塾化」である。塾は,個人主義的ニーズに応えるサービスだからみな満足するが,全体として学力格差を拡大させ,社会を悪化させている。技量不足の教師には塾化が有効だろうが,塾を真似せずとも学力は向上する,実証データも成功例もある,と言い切る著者。世間一般の思いこみへの真正面からの反論であり,実に興味深い。実践報告について書かれた他の著作も読みたくなった。
東大でも協同学習を
日本の小中学校は習熟度別でないので、平等、高校と大学は習熟度別、能力別になってるので平等でないとのことなので、いっそ、佐藤学先生の勤務先である東京大学もすべての学生を受け入れて、協同学習をされたらと思いました。そうすれば圧倒的多数の中程度の学生には大変効果が出るはずですね。でも、トップと最底辺の学生は課外学習で面倒を見ることになるのですね。東京大学も「公教育」なのだから大多数の利益を守らないといけませんからね。 この本は小中学校の先生のために書かれている本だと思いました。 子どものためを考えて書かれたようには思えませんでした。 親は先生が子どもを個人として見てくれることを願っています。 個人としてスキルアップして欲しいし、その中には基礎学習も集団の中でメンバーとしてやっていく能力も含まれます。基礎学習が出来ない、集団の中のお客様にはなって欲しくありません。
子どもたちは知っている
「できる子、ふつうの子、できない子」と分けられていることを、小学生たちでも知っている。学力の基礎基本を身につける低学年の時期から、すでに習熟度別(学力別)に編成されることに対して、「本当にそれでいいのだろうか」という素朴な疑問を感じざる得ない。当の現場の教師たちからあまり批判の声が聞こえてこないことに対して、もどかしさを感じる。習熟度別は、「区別」ではなく、明らかな「差別」だと思う。このままでは、子どもたちの心はますます荒んでいく。
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【くちコミ情報】
正直、期待はずれ
この著者についてはよくしらない。古本屋で500円だったので買った。 著者紹介では東大教育学研究科大学院卒とある。要するに大学で「教育」などというくだらないことをテーマに研究されたかたらしい。 実際、内容は「イギリス unde サッチャー」での教育現状が詳細に研究されかかれている。この部分は常識的に知られていることが詳細に書かれていて資料的価値は高い。 フィンランドの楽園的状況についてはページ数も内容も少ない。ポイントはフィンランドはある時期初等教育まで全民営化を行ったことだ。これが何を意味するかは先の小泉政権がやったことを思い出して誰にでも分かる。 私は民営化には大賛成だが、果たして日本国民がそれに耐えられるか?小学校教員が、保育士と同程度の社会的地位に落ちることに耐えられるか?まあ20年は無理だと思う。アホほど体裁だけは整えたいものだ。
フィンランドのやり方を全部日本に入れることは不可能
この本を読み、フィンランドの教育事情を知ることが出来たが、日本で取り入れることは可能なことが少ないと考えた。学校は学ぶ場所!!!!というものが強いのでフィンランドではみんな集中する。塾がなくても、自分で調べる癖がついているので、好奇心旺盛になる。一方、わが国日本では、授業中寝ていて、塾で勉強というのがあるくらいである。学校はただ給食を食べるところだというヤロウもいるのである。これでは無駄だ。学校を利用し、塾も利用しなければ非効率である。親が稼いだ金が無駄になるだけ。日本に導入できるのは少ない。私立の学校ならばまだ意思のある人間がそろっているが、公立だと難しいと思う。 個人的にならば、このフィンランドの教育をまねすることが出来るので、個人個人、一人一人が変わることが重要だ。自分は荒れた公立中学校だったので、フィンランドの教育が実にうらやましい。私も受けてみたかった。
日本の教育改革へのヒント集
学力世界一となって日本でも高い関心を集めるようになったフィンランドの教育事情を、教育における比較文化を専門とする研究者が取材・考察した書である。著者はフィンランド教育のすばらしさを手放しで評価する。本書を読むと、フィンランド教育がなぜ成功したかわかる。1つには教育の自由化、もう1つは教育費の充実がある。 教育の自由化は、とくに地方公共団体が学校とともに教科書採択や教師採用にコミットしている点がある。この点、すべてを文科省がコントロールする日本と対照的だ。フィンランドは日本ほど中央集権が進んでおらず、地方が地方を活性化する人材づくりに成功している。 また、少人数制を実現し、授業の組み立てがすべて教師にゆだねられている。教職は最難関の職業の1つで、優秀な人材が集まっているうえに、授業以外の拘束が少なく、きちんと準備をして授業にのぞめる。また、フィンランド人の価値観は日本ほど学歴主義に傾いておらず、得意な分野を伸ばすことにこそ、教育の本質を見ている。生徒は答え合わせをするのではなく、本で調べるのである。図書館利用率世界一の面目躍如だ(もちろん、これは冬の長いフィンランドの気候も大きいが)。これなら、教育がうまくいくのも当たり前だと感じた。 ひるがえって、私たちの日本。人口の高齢化で財政は高年齢層にますますシフトし、少子化の進む教育費はどんどん削られている。また、大卒の興味は金融や株式へと向かい、教育に行く人材の質は低下している。 これは、数少ない勤労における男女平等を実現していた教職が、今や珍しい存在でなくなり、優秀な女性が教職に行かなくなったことが大きい(詳しくは『こんなに使える経済学』(ちくま新書)をご参照ください)。 フィンランドの教育制度は確かにすばらしいが、それをそのまま実現することは不可能である。得意なことを伸ばすことを目指すフィンランド教育と苦手をなくすことを目指す日本教育。どちらが優れているとは言えない。それは、エリート教育・職業教育を分けるか、教育を平等なものと考えるかの違いでもあるからだ。ただ、やはり、時代はフィンランド教育のほうへ動いているように感じる。長期的には、フィンランドのように増税をし、教育や福祉に財政に割き、子を持つ多くの女性が(もちろん男性も)安心して働ける新たな市場を作ることが必要だろう。その中で、フィンランドのような教育を実現することは可能になっていくはずだ。 本書には日本の教育改善のためのヒントに溢れている。ただ、感情論ではなく、日本の財政にのっとり、かつ前向きな考え方が必要である。本書が描くのは、その具体策の手前の手前くらいである。ここから何を取り出すかは読者の知性に大きくゆだねられている。
教育の理想を貫いている国
読めば読むほど日本の教育の反対を実行しているフィンランドがうらやましくなった。日本でこのメソードを取り入れても根本が変わらなければ意味がない。良い点数ばかりをとるために塾通いさせる日本の教育。大学を選択するのも卒業後の就職を考えて、企業が好む大学を選択しがちであると聞いている。いったい日本での大学の役割とは何なのでしょう?落ちこぼれを自然に生み出す日本の教育には未来はあるのか。本当に改革していかないと国際社会で生き残ることは難しくならないであろうか。「ニート」を生みだしてしまったのも教育システムの乏しさではないのであろうか。この本にはそんなことを回避し本当の意味での子供たちの将来に役立つ素晴らしい教育を実行しているフィンランド人たちの試みがわかりやすく書かれていてお勧めの一冊です。
フィンランド教育の紹介は貴重だが、余りにもイデオロギーの偏向があるのが欠点。
そもそも執筆者がフィンランドの教育を客観視せず、自らの価値観に合致する側面だけ取り上げているのが最大の欠点である。フィンランド教育を研究し日本に紹介した功績が大きいだけに実に残念である。 フィンランド教育を客観的に研究していれば、出てくる結論は明瞭で「税率を上げ、教育予算を増やし、教員を増やし、現在の公立学校教員の給与優遇を廃止して少人数学級を実現すること」であるはずだ。それなのに何故、筆者は「数値目標に反対」(フィンランドは予算と人員に物凄く拘っているのに!)や「教師が手づくりのテストを作成」や「学級づくりという伝統的な協同の知」のような皮相的な処方箋を出してくるのか。フィンランドと日本の教育の本質を知らないと言わざるを得ない。「上の教育哲学が貧困」とするのは正しいが、研究者の教育哲学、社会構築能力こそ貧困なのではないのか(日本の大学の教授会や人事慣行の実態を考えると結論は明白)。日本国民を広く説得できる論拠と現実的な提言こそが不足している。 そもそもフィンランドの教育の最大の特徴は、予算と人的資源を公教育に集中投資していることであって、「競争しないこと」では全くない。アメリカと並び先進国中で最も教育費が高く、人員に予算をかけない我らが日本とは全く対極にある国である。(ついでに言えば、教員の給与に関しては、年功序列を堅持する日本の方が高くなっている!) 個人的には、日本では人口密度が高くてあらゆる側面で競争的になりがちであること、合理性よりも感情的な判断に左右され、冷静な議論を行う習慣に欠けていること、先を見据えた戦略的思考が弱く、失敗や欠点ばかり追及する後ろ向き発想をしがちであること、無意識に価値観の等質性を他人に要求して価値の多元性への拒否反応が強いこと、以上の四点から、フィンランドの教育をそのまま日本に取り入れるのは困難と考える。 また、EUの戦略、或いはフィンランドの国家戦略は根本的に小国が国際競争に勝ち抜くためのものである(※)。著者はなぜ露骨にその事実を無視するのだろうか。例えばフィンランド政府が自国を代表するグローバル企業のノキアをなぜあれほど優遇するのか、少しは考えるべきではないか。 ※ この側面に関しては、『受けてみたフィンランドの教育』の方が遥かに参考になる。 ただでさえ教育学はファンタジーまがいの言説を過剰生産しがちな分野である。教育史や教育社会学のように客観視を重んじた研究を望みたい。
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おすすめ度
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| 「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット)
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【くちコミ情報】
子供たちの現状
「子供たちは勉強漬けで窒息しそうになっている」という認識が疑いようの無い事実であるかのように言われてきました。 しかし本書は、そのような子供像は20年も前のものであり、今の子供たちはむしろ勉強から逃走しており、従来の認識は正しくないことを明らかにします。 このような現状は必ずしもこれまでの「ゆとり教育」路線を否定することに直結するものではありません。 しかし、ゆとり教育が「たるみ」として推進されようとするならば、本書の示す問題意識はゆとり教育に大きな問題提起をすることになるでしょう。 ではなぜ子供たちは勉強から逃走したのか? 著者はその原因を「圧縮された近代化の終焉」というキーワードから解き明かしていきますが、あまり分かりやすい説明はなされていないように思います。 ただ、本書とあわせて同著者による『学力を問い直す』を読むと、著者のいわんとしていることは理解できます。 よって、本書は『学力を問い直す』とセットで読むことをおすすめします。
大学の授業ですすめられたが・・・
この本を大学の理科教育法ですすめられ読んで、全国の子どもたちがタイトルのように学びから逃走しているのだと思っていました。そしてそのような子どもたちをどのように学びに向き合わせるかを考えてきました。いま教育現場に立つことができました。今いる田舎の高校ではまじめで必死に勉強しています。なので私自身、少しこの本を信じすぎ |